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2025.07.30
金箔という言葉は聞いたことがあっても、その正確な定義や特徴について詳しく知る機会は少ないかもしれません。
ここでは、金箔の基本的な知識について解説します。
金箔とは、金を極限まで薄く延ばしたもので、その薄さは想像を絶するものがあります。
純金や金合金を機械や手作業で叩き延ばすことにより、光が透けるほどの薄さまで加工したものを指し、この驚異的な薄さは、金という金属が持つ特殊な性質があってこそ実現できるものです。
金は展延性という性質に優れており、1グラムの金を延ばすと約3000メートルもの長さの糸にすることができ、面積でいえば約1平方メートルまで広げることが可能です。
この特性により、他の金属では実現できない極薄の箔を作ることができ、しかも破れにくいという特徴を持っています。
また、金箔は単なる装飾材料ではありません。
金の持つ化学的安定性により、酸化や変色をしないため、何百年、何千年という時を経ても、その輝きを失うことがありません。
この永遠性こそが、古来より金箔が珍重されてきた理由のひとつといえるでしょう。
金箔の厚さは、用途によってさまざまですが、一般的には0.1~0.2マイクロメートル(1万分の1~2ミリメートル)という極薄のものが主流となっています。
この薄さを実感するのは難しいですが、新聞紙の約100分の1、人間の髪の毛の約1000分の1という比較をすれば、その薄さが理解できるでしょう。
日本では、金箔の規格が細かく定められており一般的なサイズは109mm×109mmの正方形で、これを「三寸六分(さんずんろくぶ)」と呼びます。
金箔の用途は実に多岐にわたり、その使用範囲の広さには驚かされます。
最も伝統的な用途は、寺社仏閣の装飾で、仏像や仏具、建築物の装飾に使用され、神聖な空間を演出してきました。
金閣寺に代表されるように、建物全体を金箔で覆うという壮大な使用例も存在します。
工芸品の分野では、漆器、屏風、襖絵などに金箔が使用され、蒔絵や沈金といった伝統技法と組み合わせることで、日本独自の美術文化を形成してきました。
また、現代では化粧品や食品にも使用され、金箔入りの日本酒や料理は、特別な日の演出として人気を集めています。